Rina Takahashi


自分らしい暮らしのリズム。
 
農業、海、山、旅。
一つを選ぶのではなく、すべてを続ける。
 
北海道の四季とともに暮らす、高橋 里菜さんの生活を訪ねました。

INTRODUCTION​

湘南で生まれ育ち、13歳からフィリピンと日本を行き来する生活を送り、​現在は北海道で暮らしている。​

朝起きると犬たちと庭へ出る。​
波があれば海へ向かい、雪が降ればパートナーと山へ。​
春になれば土を耕す。​
農業を仕事にしながら、サーフィンやスノーボード、​スケートボードを暮らしの一部として楽しむ。​

一見すると自由気ままなライフスタイルに映るかもしれない。​
けれど、その一つひとつには理由がある。
​
「好きだから。」​

その飾らない言葉の奥には、自分らしく生きるための確かな感覚があった。​

湘南、フィリピン、そして北海道。​
場所が変わっても、彼女が探し続けているものは変わらない。​

それは、自分にとって心地よい暮らしのリズムだった。​

LIFESTYLE

​一年の始まりは、土づくりから始まる。​
春になれば畑を耕し、苗を植え、夏には収穫に追われる。​

畑仕事がひと段落すれば、波を探して海へ向かう。​
秋は来年へ向けて土を整え、冬は雪が降ればパートナーと山へ向かい、​そこでは、世界中から集まった、サーフィンを通じて出会った仲間たちと​雪の上で一緒に時間を過ごす。

​夏は海で、冬は山で。​
場所も季節も変わるけれど、好きなことを通じてつながった人たちと、​また同じ時間を過ごす。

​そして、その合間には海外へ旅に出る。
​新しい景色や文化に触れ、新しい人と出会い、また北海道へ戻ってくる。

​彼女の暮らしには、決まった休日はない。​
季節が変われば、することも、向かう場所も自然と変わっていく。
​その流れに逆らうのではなく、自分のリズムを重ねながら日々を過ごしている。

​北海道という土地に暮らしているというより、​四季そのものと暮らしているようだった。​

「全部のバランスが取れていないと、 自分じゃなくなる。」

VALUES

インタビューの中で、何度も耳にした言葉がある。​

「バランス」。​

それは仕事と休日のことではない。​
自然だけでもない。​
街だけでもない。​
農業だけでもない。​

海も好き。山も好き。​
旅も好き。畑も好き。​
どれか一つを選ぶのではなく、全部を続ける。​

北海道で自然と向き合いながらも、ときには街へ出て刺激を受け、​海外へ旅をして新しい価値観に触れる。​
そしてまた北海道へ帰ってくる。​
その循環が、自分らしい暮らしをつくっているという。​

「全部のバランスが取れていないと、自分じゃなくなる。」​
その言葉は、自分らしく生きることの本質を静かに語っていた。​

​PERSPECTIVE

​自然は、毎年違う景色を見せてくれる。農業も同じだ。​
天候も土も、野菜も、一年として同じことはない。

​最初は何も分からなかった。​
ネギの育て方すら知らず、失敗を繰り返した。​
分からないことは近所の農家に教わり、翌年また挑戦する。
​自然には正解がない。​
だからこそ、自分の感覚を育てることが大切になる。​

その感覚は、海にもつながっている。​
「自分らしいと思う瞬間は?」​
そう尋ねると、彼女は迷わず答えた。

​「水の中にいる時。」​

サーフィンをしている時だけではない。
ただ水に身体を預けているだけでもいい。​
北海道の海には自然の厳しさがあり、フィリピンの海には安心感がある。
​景色は違っても、水の中にいる時間だけは変わらず、​自分を素直にしてくれる。
農業も、海も、旅も。
​どれも自然と向き合う時間であり、自分自身と向き合う時間でもある。​

彼女にとって自然とは、何かを征服する対象ではなく、​自分を整えてくれる存在なのだろう。​

「今、幸せですか?」

「最高っすね。」

WHAT MAKES US RICH​

豊かさとは、持つことではなく、満たされること。​

彼女は、多くを求めているわけではない。​
大きな成功でも、特別な暮らしでもない。​
季節の移ろいを感じながら土に触れ、​波があれば海へ向かい、雪が降れば山を歩く。​
新しい土地へ旅に出て、そして、また畑へ帰ってくる。​
そんな日々を繰り返すなかで、​彼女は自分にとって心地よいリズムを見つけてきた。
​
インタビューの最後、「今、幸せですか?」という問いに返ってきたのは、​

「最高っすね。」​

その一言だった。​
飾らない言葉だからこそ、今の暮らしへの満足が、まっすぐに伝わってくる。​

豊かさとは、何かを手に入れることではない。​
自分が大切にしたいものを知り、それを日々の暮らしのなかで育て続けること。
​
彼女の生き方は、そのことを静かに教えてくれた。​